文と写真: Shuhei Miyahara
芳しの季節

ゴールデンウィークが終わってから梅雨に入るまで。僕が島の暮らしで一番好きな季節のひとつだ。理由は香り。この時期、レモンやミカン、八朔などなどの柑橘の花が一斉に咲いて、島中がジャスミンのような甘い香りに包まれる。朝起きて新聞を取りに外へ出ると、そのいい香りに一瞬立ち止まり、大きく鼻腔から息を吸い込む。
自然は人間世界に流行るウイルスなんかは意に介さないようで、今年も変わらず期間限定の贅沢な時間を与えてくれている。日曜日の今日は、この香りのなかで薪小屋まわりの草刈りとクルマのタイヤの前後ローテーション作業をし、溜まっている原稿を書いた。あなたが島を訪れたいと思うなら、僕はこの時期を一番にお勧めしたい。コロナが晴れたら、来年あたり、ぜひ。