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  • 文と写真: Shuhei Miyahara

猪革のルームシューズ

最終更新: 2月28日





大三島にJishacというレザー・クラフト工房がある。やっているのは重信幹広さんと瑠依さんの夫婦。しまなみ海道の島々で深刻になっているイノシシは、畑をやっている人には共通敵である。芋やカボチャを食い荒らし、ミミズなどを狙ってそこかしこをメチャクチャに掘り返すからだ。その皮を使って、革小物をデザイン・制作しているのが彼ら。これまでも捕獲されたイノシシのその肉は精肉され販売されていたが、捨てられていた皮を有効活用し、獲る人がより多くの利益を得られるようにする。そのようなアプローチでイノシシ問題を解決していきたいという幹広さんの熱量はすごい。


一頭から取れる皮でも、部位により厚みや柔らかさが違うこと。付いている傷は生前に受けたものであること。その傷も作品の味わいに役立つものであることなど、幹広さんはいろいろ教えてくれた。デザイン担当の瑠依さんも、ものづくりの楽しさが柔和な表情から溢れ出している。そんな彼らの熱にほだされ、僕は夫婦で揃いのルームシューズをオーダーした。値段はそれなりにしたが、それができるまでの長いプロセスを知れば頷けるし、使い捨てではなく補修も受けてくれるので、いいものを長く使いたいという僕のポリシーにも合致した。


彼らも、ルームシューズを一度つくってみたいという気持ちがあったそうだ。カラーはカスタム。ものの1週間もせずに連絡があって、わざわざうちまで納品に来てくれた。受け取ったルームシューズは左右をきちんと決めて履くと、それぞれの足の形にきちんとフィットしていった。表面の傷は、プロダクトとしての味だけではなく、左右を見分ける目印にもなっている。これから一緒に過ごす時間がとても楽しみだ。

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