文と写真: Shuhei Miyahara
ストレインジ

玄関にこんなものが設置されていた。薄い木材を縦に細く裂いたものが4の字に組まれており、先っぽにイチゴが刺さっている。なんだこれは……。犯人はもちろん、小学校2年生の次男である。一瞬、昔のホラー映画『ブレアウィッチ・プロジェクト』に出てくるような不吉なシンボルを想像したが、よく見ると精巧に細工されていて、ほぞ穴をあけてそこに別の木材を差し込むなどけっこう良くできている。
犯人に聞いてみると、これは「カラスを捕らえるための罠」とのこと。どうやらカラスを間近で観察したいためにつくったらしい。イチゴでおびき寄せ、カラスがイチゴをかじると木が口に刺さって捕まえられるという仕掛け。わが息子とはいえ、ひとことで言うと独特である。なかなかクリエイティブなのだ(これではさすがに捕まえられないと思うけど)。告白すると、僕も小さいときからずっと「あんたは変わってるねえ」と言われ続けてきて、ものをつくるのが好きだった。
そんな僕の血を、彼は継いでいるような気がして、なんだか嬉しい。集団行動より、1人で黙々と何かに取り組んでいるのが好きなものよく似ていて、そういうのも「変」という評価を助長するのかもしれない。しかし、変わっているというのは分かりやすい特徴があるということだ。他人と違うことを怖がらず、それを大切にしていってほしいと思う。レオ・レオニの名作『スイミー』の主人公がその「違い」を生かし、勇気と知恵で危機を乗り越えたように、それがいつか役立つ時がくる。