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  • 執筆者の写真文と写真: Shuhei Miyahara

シンプルな時間



コロナウイルス感染者が報道されてはいるけれど極めて少ない愛媛県でも小中高校が一斉に休業となり、島にいるうちの子どもたちも例に漏れず家にずっといることとなった。政府による一連の対応の良し悪しは置いておいて、こういう時だからこそ得られることがあるのではないか。いろいろな人がいろいろなことを言っている。どれが正解でどれが不正解か、僕にはわからないことが多いけれど、その一つひとつは、複雑な社会がみせるほんのすこしの断面でしかないのだと思う。


そんなことより、休校中で退屈な次男と多くの時間を共有していると、ふたりのこのシンプルな時間がことのほか幸せなことに気づく。昨日は仕事中の妻にベーグルサンドを作ってもらい、生協でクノール・カップスープのつぶコーンを買って、ふたりで島の山に登った。頂上について、ガスバーナーでお湯を沸かし、カップスープをつくり、ベーグルサンドを食べた。曇り空を渡る風はだんだん強くなってきて、僕は薄着の次男に僕の黒いレインウェアを着せてやった。気温はすこしずつ下がっているようだったが、寒くて凍えるほどではなかった。


遠く、島にかかる橋の上をトンビが風に乗ってホバリングしていた。頂上には僕たちしかおらず、そこに流れる時間はふたりだけのものだった。ベーグルサンドを食べながら、僕たちはここでの時間の素晴らしさについて話した。短い会話で、お互いの意識は同じところに着地したようだった。頂上から見える海はグレーだったが、ところどころに光が差してキラキラと光り、その光の中を大型の船舶がゆっくり滑っていった。

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